東京銀座のビルの谷間に覗く青空に六筋の白い糸雲を見た。
早くも六月に入り衣替えとなった。 朝早くより青空。 太陽は柔しく明るい光を地上に隈無く届けている。 薫風を胸いっぱいに吸いこんだ。 空高く雲雀は声高く気忙に。 鶯は歌唱力豊かに流暢にう。 合わすかのように他の鳥たちも自慢の喉を競い奏でている。 目を移せば名を知らぬ小さな花が色取り鮮やかに咲いて娯しませてくれている。 世の非常時に関わらず時を得ている。 自然は大きな法則によって規則正しく運行している。 老子 「道法自然」 人もまたこのながれにある。
東京銀座のビルの谷間に覗く青空に六筋の白い糸雲を見た。 ブルーインパルス六機の飛行だ。 医療関係者に対する感謝を表すためである。 見上げながら思い出した。 昭和三十九年十月十日を。 その日は東京オリンピック開催日である。 未明まで強く降りつづいた雨はあがり青く澄み相応しい秋天となった。 五輪マークの五色の輪が国立競技場上空に描かれた。 円と直、 祭典と感謝。 背影は全く違えど胸の熱くなるのを覚えた。 病院で働く人はコロナ感染の恐怖と戦いながら自己犠牲を強いられ懸命な治療にあたっている。 その人達に誹謗中傷がある。 家族への嫌がらせ、 苛めが起きている報道があった。 自分の身を守ることは第一義であることは誤っていない。 行き過ぎた自己防衛である。 日本には仏教の教え思い遣り、 感謝の念がある。 そのような人達も誰からか助けられていることを考えているのだろうか。 消えかけた使命、 誇りの炎をインパルスが空を切り開く強い力をみて勇気づけられ再燃されたことであろう。 舌足らずである。 紙面の片隅から感謝のエールを送ります。 (WT)
20年06月08日