校長のひとりごと

日本書道専門学校で第五十八回の入学式が行われた。

 四月五日 (水) 日本書道専門学校で第五十八回の入学式が行われた。 書を学ぶ若い彼等が青春の志は意気軒であり面持は頗る晴れやかであり夢へ向かっての第一歩を踏み出した日である。 行く手には難関が待ち受け道は平坦なものではない。 と重々承知ではあろう。 書は文字、 筆を介在する心の表象である。 学びは難しく辛いものではあるがそのなかで必ず喜びがあることを見い出して欲しいものである。 それが夢に近づき夢実現へと繋がることを信じて。
 先日日本書道専門学校初代校長である手島先生が生前にお住まいになられた鎌倉雪ノ下のお宅に伺った。 先生のご長男の手島たいりく氏からのお招きによるものであった。 先生宅は手島先生記念館となる。 四月十五日より開館し土日のみの公開となる。 その前の内覧である。 先生が亡くなられて三十七年長い時間が経過している。 鎌倉駅から小町通りを抜けて八幡さまの裏奥までの道すがら思い出は尽きない。 新書を扱う本屋さんに立ち寄り、 ご高齢で品のよいご婦人が営むレストランのカウンターでカレーライスをいただく。 そして少しばかり先の古本屋さんで文士と向き合ったことなどである。 しかし時は経ってノスタルジックな情に浸ることを許さない変貌である。 先生宅門に 「抱雲荘」 と墨書木の扁額。 門を抜けると大きな紅葉は先生の大のお気に入りである。 石燈籠・北山杉、 庭は当時より狭く感じる。 歳月とともに樹木が育ったせいであろう。 街並みは変われど心に留まる風景はいつまでも色褪せず鮮明である。

23年04月21日