校長のひとりごと

人生百年時代

 人生百年時代といわれている。人生百年と聞いて「なるほど」と肯定的に捉える人、いや「それまでは」と否定的な人もおられよう。肯定派否定派ともに平均寿命は人生五十年時代に比べ三十数余年と大幅に伸びていることは受け入れられている。平均寿命は延びたといっても誰もが健康で年老いている訳ではない。齢を重ねれば自然と身体能力は衰えてゆくことは必然である。しかし、年齢に反して元気でいる人。身体が思うようにならず社会との接点が狭くなっている方もいよう。百年はこれら全ての事情を含んだ数値であることを理解しておく可きである。幸いにして健康で後期高齢者の仲間入りとなった。高齢者を取り巻く事態は一変する。ひとつに健康保険料は事業所との折半であったものが全て自己の負担となった。健康には自信をもっているが後期高齢者としての自覚を余儀なくさせられている。改めて家の内を見わたしてみるとそれぞれに共に過ごした思い出の物が多くある。冷静にこんなものは自分以外の人にはゴミだとわかっているのであるが捨てられずにいる。ならばと決断した。四十数年所持した運転免許証を返納したのである。運転免許証を取得するには時間、経費、労力がかかっている。ようやく手にしたものであったが既得権を手離すのはいとも簡単なことであった。これで被害者となることはあるが加害者となることは無いと腑に落ちた。と古人は呟いた。

22年11月10日