校長のひとりごと

歳は改まり辛丑令和三年となった。

 歳は改まり辛丑令和三年となった。 皆様には目出度く正月を迎えられたことと思います。 新年には書専での新たな目標をたて学びの道を進められていることでしょう。
 一月は日本全国各地で賑やかに、 華やかに書道展が開催される。 正月の衣裳を美しく身にまとった人の書道展詣では、 会場に花を添えている。 しかし、 今年は例年とは全く様子が違っていた。 昨年からのコロナが猛威をふるい続けているのである。 感染拡大をさせぬための不要不急の外出を控える自主規制によるものだ。 展覧会を中止と決めた団体、 社中、 グループがあいついでいる。 日頃の成果を問う機会を失った喪失感は大きいものであろう。 一方ではこのような時であるから書をもって明るく元気づけたいと感染防止を万全にして開催した団体もある。 しかし、 会場は閑散としている。 マイナス面ばかりではない。 プラスの面もある。 入場者が激減したなか、 気に入った作品を時間をかけてじっくりと心ゆくまで鑑賞することができるのである。 密でない会場内での感染リスクは外よりも低いことがあげられる。
 近頃新語が目につく。 「黙食」 である。 読んで字のごとく黙って食べることの意味である。 老生の小さい頃は常識であった。 食事は静かに音を立てず食べろとしつけられた。 卓袱台にのぼるまでの過程における多くの人々の苦労を感謝し有り難くいただきなさいということと理解していた。 箸使い、 少しでも姿勢が悪いと叱責された。 食事は厳粛なものであった。 気のおけない仲間と楽しく語らいながらの食事は至福の時であり一層美味しく頂くことができる。 黙食は今飛沫を飛ばさないためにある食事の手段となっている。 小市民の些細な幸福をも奪おうとしているのだ。 変異種の新たなコロナがあらわれた。 コロナ自身は生きる道を強かに見つけている。 逸早いワクチンの接種が待たれる。

21年02月25日